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2005年02月08日
ライブドアがニッポン放送の株式を取得
うまのりラジオの第2回でライブドアねとらじについてしゃべったが、もうちょっと突っ込んだ話がしておきたいと思っていた。そうしたらでかいニュースが飛び込んできて考えていたことが全部吹っ飛んでいってしまった。
ライブドア、ニッポン放送の35%の株式を取得!――筆頭株主に(ASCII24)
今回のライブドアの行動はラジオ局を支配下に収めることだけでなく、様々なことがおまけとして(むしろそちらのほうが主たる狙いなのかもしれない)くっついてくるが、ここでは放送事業と私が問題意識を持っている音楽に絞って話を進めたい。
ラジオとインターネットの融合を考えた時に、ラジオ局と提携するよりは筆頭株主になって融合策を進めた方が圧倒的に速いだろう。ストリーミング技術の発達やブロードバンドの普及によって、インターネット上での「放送」の下地は出来てきたが、放送局側はインターネットを積極的に利用してはこなかった。それを見ていたライブドアが、提携を申し込むよりは買ってしまえと思ったのは理解できる。
今回の出来事は、私個人は単純に面白そうだと思った。しかし今後のことを考えると二つほど引っかかるところがある。一つは「放送」と「通信」だ。たとえば、現在日本の地上波ラジオ局でオンエアされている放送をそのままインターネットラジオとして配信しているところはほとんどない。なぜならインターネットで曲が流せないからだ。日本の著作権法では、大まかに言って放送局が電波に乗せて発信しているのは「放送」、インターネットで配信するのは「通信」として区別されている。そして「放送」では、誰の何の曲をかけても事前に許可を取らず、事後に利用料を払えばいいのに対して、「通信」は曲をかける前にレコード製作者から許可をもらわなければならないとされているのだ。ライブドアは「情報のデジタル化とブロードバンド化により、放送と通信の境界線が無くなる」と打ち出している。それは技術的にはもう正しいというレベルに到達した。しかし、最後に残る法律の壁をどう崩すのだろう。
放送と通信については、つい最近議論がされたばかりである。
Webキャスト放送は“放送機関”か?――文化庁、著作権分科会国際小委員会を開催(IT media)
「2000~3000人のアクセスでパンクするかもしれないWebキャスト放送局と、何十万人、何百万人を相手にする放送局に同じ権利や義務を与えるのはおかしい」「欧州と米国で温度差があるなど、IPマルチキャスト放送の普及度合いはまちまち。“新しい放送スタイル”がこれから育つことを視野に入れた議論を望みたい」といったのんびりとした議論を待てるか、それとも思い切ってレコード会社を買収してしまったりライブドアレコードを立ち上げてミュージシャンをバンバン引き抜くか(それをやったらすごいなあ)、いずれにせよもう一つ二つのビッグサプライズを期待したい。
ただ、音楽が流せなくとも、ニュースもあるし、野球中継や競馬中継など、ライブドアの他の事業と密接に結びつきそうなコンテンツもたくさんあるので、いずれにせよこの融合でラジオとネットラジオが面白いことになっていきそうな予感は十分にある。
もう一つ引っかかることは「コンテンツへの課金がより日常化していく 」というところだ。2005年1月31日の社長日記にこのような記述がある。「これからはブロードキャストの時代ではない、ユーザアカウントを取ってこそなんぼの時代であると思う」。これを読んだ時に意図するところがちょっと理解できなかったが、こうなってみるとなるほどなと思う。例えば人気番組の過去放送をアーカイブ化して売るとか、ペイパービュー番組を制作するとか、色々な可能性があるだろう。
インターネットラジオにおいて日本のはるか先をいくアメリカでも、インターネットラジオでは地上波ラジオのようには広告が集まらないらしい。インターネットラジオではないけれど、最近普及率が伸びているサテライトラジオでは、1ヶ月約10ドルと有料制になっている。そのかわり、CMが一切入らない高音質の番組を提供している。IT mediaの記事では「広告に頼った従来のモデルは必ず崩れる」という堀江社長の発言が載っている。崩れるかどうかはわからないが、広告を集めたりというようなことはスピードを殺してしまうという判断なのだろう。それも間違っているとは思わない。
ただ、単純な希望として、「ラジオはタダ」であってほしいと思っている。全てとは言わない。例えばニュースなどの公共性が高いものに関しては誰でもすぐアクセスできる自由さを無くさないでほしい。そのあたりのバランスをちょうどいいところでまとめてもらいたい。そうすれば株主の皆様以外にも喜ぶ人がたくさんでるでしょう。
本当はライブドアねとらじを見てふとライコスマイブロードキャスターを思い出したので、その話をしようとしたのですが、後日また改めて。
[ネットラジオ] 投稿者 manolin : 2005年02月08日 23:37
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