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2005年03月09日

「新しい」ラジオ

アメリカでは衛星ラジオが好調だ。「米国で大流行のサテライト(衛星)ラジオを知ってますか?」に詳しいが、アメリカに住んでいる友人に聞くと、チューナーの価格も手ごろになり、番組も聴きたくなるようなものが出てきたと言っていた。最近衛星ラジオ局大手のXMは料金の値上げを発表したが、それにより株価が上昇したそうだ(衛星ラジオ放送の米XMサテライト、月決め基本料金を値上げ)。投資家も衛星ラジオの将来を有望視しているのだろう。

この新しいラジオへの追い風の一つに、ハワード・スターンが2006年1月からシリウスサテライトで番組を開始することがあげられる。この発表に関してインサイダー取引疑惑が上がる(毒舌ラジオ司会者スターン氏の移籍を巡りインサイダー取引疑惑)ほど株価へ大きく影響したこの有名DJ移籍のインパクトは相当なものだったのだろう。

ハワード・スターンが衛星ラジオで番組を持つことになった背景には、アメリカの放送業界(特に地上波ラジオ業界)の問題があるようだ。FCC(米連邦通信委員会、耳つきドラえもん)による放送表現の規制強化(保守派の台頭でエスカレート? 放送表現の規制強化)や、クリアチャンネルによるラジオ局支配(ジェフ・バールスタインインタビュー)により、地上波ラジオで番組を持てなくなったDJが現れたり、規制のかかった曲が放送されなくなっているケースがある。ハワード・スターンとFCCやクリアチャンネルとのトラブルは「町山智浩アメリカ日記」に詳しい。またラッパーのエミネムは昨年11月にシリウスで自分のラジオチャンネルを開いた(世界初アーティスト個人ラジオ、NY発エミネム局)が、これも彼の過激な歌詞が規制の対象になり、嫌気のさしたエミネムがFCCの規制を受けない衛星ラジオ局に活路を求めたのが原因だ。

衛星ラジオには、音質の良化や、番組中にCMが入らないといった「新しさ」とともに、地上波ラジオの保守化、硬直化に対するオルタナティブというイメージ的な「新しさ」も加わったように思う。Wiredの3月号の特集「THE END OF RADIO」というタイトルにもそんなイメージが込められているように感じる。そして、その流れにポッドキャスティングは実にうまく乗っかったなと思う。この状況の中では、どちらかといえばちょっと退屈なイメージのある公共放送でも、ポッドキャスティングを始めれば注目を浴びる。これまでとは違う価値の再編成が始まっているように見える。

と、ここまで書いて、私がライブドアに期待したのはこの「新しさ」なのかなと思った。ちなみに、日本にも衛星ラジオ「MUSIC BIRD」はあるけれど、あまり話題にならない。今回の買収劇の主役になっても、誰もラジオについては語らない。それはとても寂しい。アメリカと日本の単純比較はできないけれど、何か日本のラジオにも、そういう価値の再編成が起きないものかなと思う。

[ネットラジオ][ポッドキャスティング] 投稿者 manolin : 2005年03月09日 14:05

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